マウンテンパーカとダウンジャケットの融合。The North Face Down Jacket "60/40 SEROW PARKA" ノースフェイス・セロウパーカ
「空気を着る」のキャッチコピーでウール製品との決別を決意させたダウンジャケットとの出会いは1970年代中頃の事でした。
アメリカから斬新なバックパッキング伝道と共にアウトドア衣料も輸入され、堅牢な縫製の中に封じ込められたダウンのロフトと軽いのに暖かい衝撃的な初体験は当時兄の友人が購入したノースフェイスのダウンジャケット『60/40 SEROW』。
ダウンジャケットにマウンテンパーカ(この頃The North Faceのマウンテンパーカは胸部にフラップポケットはありませんでした)を重ねた構造は、袖がセットインスリーブ構造の『SIERRA PARKA』の“潰し縫い”の欠点であった縫い目を無くす事でヒートロスを無くし、マウンテンパーカ由来のラグランスリーブ採用でスマートなデザイン。TAN色60/40の光沢と共にナイロンタフタのNAVY裏地とのコントラストがなんとも美しく魅力的な一品です。
角の取れた高い襟と、袖口までFILL POWER 550のグースダウンが惜しげなく封入され、マウンテンパーカベルクロ袖口のままのSierra Designsの『INYO PARKA』との違いがThe North Faceファンに好まれました。
The North Faceの代表的なダウンジャケットである『SIERRA PARKA』は裏地がリップストップナイロンの為、PENDLETONのウールシャツやシェトランドセーター等の上に着用するとウールがリップストップ地に入り込みダウンを絡めて抜き出してしまいましたが、『SEROW』は密度の高いナイロンタフタ素材でダウンを潰し縫いし、60/40の生地をアウターに使用することで、暖かさと共にダウンの抜けを無くしました。
別売りのダウンフードは裏地の違いから『SEROW』用、『SIERRA PARKA』用と別れており、ジャケット購入時にフードも一緒に購入しないと微妙な色の違いに悩まされ続けます。
『SIERRA PARKA』に採用された65/35が『SEROW』に採用された1980年、ソフトなコットンタッチ風の65/35を歓迎していましたが、購入後30数年が経過し袖口の摩耗した65/35製品と比べ独特の光沢と存在感のある60/40 『SEROW』こそ、ヘヴィデューティな本物であったと確信しました。
この記事に対するコメント
リアルタイムで良質なアメリカンプロダクトを使用されてきている管理人様の経験値には学ぶところ多数ですので、今後も楽しみに拝見、勉強させて頂きます。
突然のご連絡失礼致しました。
1970年代、アメリカ製アウトドアブランドとの出会いは新鮮でした。
偏ったブログですが、温故知新、興味を持ってお立ち寄り頂く方と価値観を共有出来れば幸いです。
先日発売された史上初、史上最高と謳っているパタゴニアのエンカシプルダウンビレイパーカについての管理人様の評価をお聞かせ頂けないでしょうか?
私は70〜80年代のアウトドアウェアが好きで、当時も着ており、現在もユーズドを買って着ています。
新品を買うことは殆ど無いのですが、上記のダウンは少し気になっています。
是非、専門家のご意見をお聞かせ願いたいのでよろしくお願いします。
TOORIさんと同じで1970〜80年代のアメリカ製アウトドアグッズが輝いていた時代に愛用していたので、当時の開発ストーリーと「当然」アメリカ製品であることを楽しんでいるだけですので、決して専門家ではありません。
パタゴニアのエンカシプルダウンビレイパーカ、スペックがすごいですね。 FILL POWER 1000!なんて凄いです。
FILL POWER 550が普通、〜700で最高級レベルだと思っていた時代の人間ですので驚きです。
高品質のダウンが量産される様になったわけでは無く洗浄技術が発達した結果なのでしょうが、フィルパワー低下させない為のメンテナンスも大変そうです。
スペックを読みましたが、ダウンフードコードやバッフルなど1970年代に開発されたMarmot Mountain Works のゴールデンマントルをベースにした印象です。
素材も進歩し軽量化されているのでしょうが、驚愕の軽さですね。
「Patagonia史上最高」「Fill Power
1000」とのスペック、「軽さと暖かさの融合」をTシャツの上に着用し味わうのは魅力的で購買意欲を刺激されます。
モノシリ沼的考察としては大気汚染した空の下で作られたかも!?、と想像してしまう「中国製」がマイナス要因でしょうか。
実用的な事とは別に、スペックをも着用して楽しめるかが大事なポイントなのだと思います。
温暖化の時代ですので、一年に数回しか着用しないダウンジャケットって位置づけが素敵かもしれませんね。
ご返答有難うございます。
確かにスペックに惹かれますが、仰る通り中国製というのが残念です。
アウトドア全盛期のアメリカ製品は本当に魅力的で飽きることはありませんね。
ただ比較対象としても現在作られている物のチェックは欠かせないと思い質問させて頂きました。
本当に有難うございました。
おっしゃるように現在の製品チェックは必要・・・と言うかどうしても比較してしまいます。
まさに「温故知新」ですね。
頑固に往年の製品を着て闊歩しましょう!
初めまして。ノースフェイスについて調べていたところ、管理人様のこちらのサイトを見つけまして拝見いたしました。大変高い見識をお持ちで感服いたしました。
そこでもしよろしければ私の購入した品物についてご意見を伺いたく書き込みさせていただきました。
先日古着屋にてノースフェイスのダウンジャケットを購入しました。
なかなか状態が良いもので満足していまして、自分の購入したものがどういうものなのか調べており、こちらの記事を拝見したところどうやら70sのserowで間違いないと思いました。
ただ1点気になる点がありまして、表地がタン色で裏地が深紅色なのです。管理人様の記事以外でも自分なりにネットで色々調べたのですが、タン色の裏地はどれもネイビーでした。
このようなものが当時存在したのでしょうか。
他のディテールとしましては、
・茶タグでmade in USA表記なし
・サイズ表記タグの文字は赤
・フロントのダブルジップはopti、ポケットのジップはYKK
・ボタンに刻印は無し
・フロントポケットはベルクロ留ではなくスナップボタン留め
・購入時フードもついていたのですが、フードの裏地はネイビーでした……
私の考えとしましては、
1、偽物
2、当時のカスタムオーダー
3、普通にこういうモデルも当時販売していた
のどれかだとは思うのですが、いかがでしょうか。
a99さんが購入されたのは、1970年代に発売された初期型SAROWだと思います。
初期型の特徴はボタンに刻印が無く、アメリカ製品に多用される2本爪ドットボタン以前のスナップボタンであること。
左右ポケットのフラップ形状が▽、そのフラップがベルクロでは無くスナップボタンである
こと、裏地ナイロンがバーガンディであること等でしょうか。
フードが付属との事ですが、同じ60/40生地でTANカラーが同じでボタン間隔が本体と合うのであれば、SEROWの裏地がNAVY、フラップ形状がストレート、ベルクロに変更される過渡期に生産された物と推察致します。
その後のSEROWは刻印入り2本爪のドットボタンになりますから、フードがスナップボタンで接続出来る状況からどちらも純正品だと思います。
以上のことからa99さんの「3」でよろしいのではないでしょうか。