THE NORTH FACE MOUNTAIN PARKAの変遷 1968年の創業時〜1990年代、2023年終焉まで
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1968年の創業時のカタログに記載されていたTHE NORTH FACE MOUNTAIN PARKAは透湿素材の無い時代、風雪よけのアノラックを着脱し易い様にデザインされ、VENTILE COTTON製の多目的用途で使用できる製品として登場。
その後、60/40生地に変更され、1971年にダウンジャケットSELOWのアウターデザインのまま発売されました。
ナイロンにダウンを封入し、アウターに60/40生地、左胸の縦型ジッパー仕様と共にこのMOUNTAIN PARKAを接合されたのが、NORTH FACEの名品SELOWと言えるでしょう。
SEROW、MOUNTAIN PARKA共にハンドウォーマーフラップは逆三角形、刻印の無いスナップボタンでしたが、1975年よりノースフェイス ダウンジャケットに共通する逆台形のフラップに形状変更、スナップボタンからベルクロに仕様変更され、2本爪の刻印入りドットボタンになるまでスナップボタンと混在したモデルとなります。
1976年にデザインが変更され、袖がベルクロ留め、左胸縦型ジッパーの廃止、両胸にフラップ付きポケットが加わり収納量がアップされ、フードを大型化し庇を付け他社マウンテンパーカと差別化されます。 Steel Blue60/40生地で生産されたこの時期の製品は、1978年にはNAVYとなってしまうので60/40独特の光沢を放つSteel Blueは貴重です。
製造年代によりYKK,TALONジッパーが混在するモデルでもあります。
その後、ダウンジャケットの65/35生地のSIERRA PARKAとマテリアルが統一されSEROWなどと共にMOUNTAIN PARKAも65/35生地に変更されてしまいます。
SEROW、SIERRA PARKAがTANに対してMOUNTAIN PARKAはCAMEL、明るめのカラーを纏ったMOUNTAIN PARKAの登場です。
1970年代のGORE-TEXなどの透湿性素材の登場と共に、風雪除け程度の性能しか持たないマウンテンパーカの存在意義は薄れ、街着としての活路を見出したものの1980年代中頃の本国アメリカではほぼ絶滅、サラリーマンがコート代わりにマウンテンパーカを着用する無類のマウンテンパーカ好きな日本でのみ定着しました。
1980年代中旬以降、本国カタログからも消えたNORTH FACE MOUNTAIN PARKAでしたが、1984年には日本代理店カタログにライセンス生産のマウンテンパーカが登場、その後ポラニール素材やウールライナー付きのモデルも展開されますが、MADE IN USA製の「本物」のクオリティには遠く及ばないのがライセンス生産品の悲しい実態でした。
この時期、VE−24、VE-23や一部スリーピングバッグもライセンス生産されましたが、これまた誠に残念なクオリティの「模倣品」レベルの製品でした。
1990年代に入りSONYマガジンなどで販売されたのが「Made in the USA」のある意味本物の復刻THE NORTH FACE MOUNTAIN PARKAとなります。
同時にリップストップのダウンベストなども復刻生産、65/35モデルにしか付いていない両胸のフラップポケットをリップストップモデルに移植され、奇異な印象を受けた往年の愛用者も多かったのではないでしょうか。
この復刻マウンテンパーカは両胸のフラップポケットを廃止、初期モデルの縦型ジッパー、何故か背中にNF初の縦型ジッパーを移植され、庇付き大型フードを廃止、ノースフェイス独特のアローバータックも使われず、まるでSIERRA DESIGNSのマウンテンパーカの胸部フラップポケットを無くしたモデルとして販売されました。
フードのドローコード先端にこれまたNF初の皮革コードストッパーが付属しました。この皮革には5つの穴がありますが(真ん中の穴にはコードは通さない)、コードをクロス状に差し込んでいるためコードストッパーとして使うには極不便、差し込み直したのは勿論ですが、SIERRA DESIGNSをコピーするならここはしっかり真似てもらいたい箇所です。
そうは言っても、初期モデルとこうだったら良いな、と思う部分を改良して作られた復刻マウンテンパーカ、30数年を経てみるとこれはある意味THE NORTH FACE NOUNTAIN PARKAの完成形と言えるのではないかと・・・
1976年発売モデルがこれだったらSIERRA DESIGNSと迷わずに購入していたのかもしれません。
そして2022年にCOSTCOで見てしまったTHE NORTH FACE MOUNTAIN PARKAの終焉。
創業者の手を離れ、コングロマリットに吸収された成れの果てと言ったら言い過ぎでしょうか。